top of page

Leedsが街づくりを住民に任せる?新プロジェクト「Love Leeds」とは

10月6日
読了時間: 9分

「この道、もう少しきれいになったら歩きやすいのに」

「近所にある公園を、もっと気持ちよく使えたら」


そんな日々の小さな気づきを、地域の改善につなげる取り組みがリーズ(Leeds)で始まります。


Leeds City Councilは2026年9月30日、住民参加型の地域改善プログラム「Love Leeds」の開始を発表しました。ただし、行政の仕事を住民に丸ごと任せるという話ではありません。住民が地域の課題や優先順位を伝え、Councilや関係機関と一緒に改善を進める仕組みです。


何が変わり、どのように関われるのでしょうか。参加方法とともに、その背景にあるLeedsの地域コミュニティの姿を見ていきます。






Love Leedsとは?住民と行政で進める地域改善

Love Leedsは、Leeds市内の全33のward(地域を区分する単位)を対象に、住民とCouncil、地域団体などが協力して生活環境を改善していくプログラムです。街の見た目を整えるだけでなく、地域への愛着や人と人とのつながりを育てることも目指しています。


公式サイトでは、取り組みの流れをListen(声を聞く)→ Plan(計画する)→ Act(実行する)→ Celebrate(成果を共有する)と説明しています。最初から行政が改善メニューを一方的に決めるのではなく、地域の声を聞くところから始めるのが特徴です。


住民だけで作業をする仕組みでもありません。Councilの関係部署に加え、保健・医療関係の機関、West Yorkshire Police、非営利・ボランティア団体などが連携します。「住民に任せきり」ではなく、「住民と一緒に決め、進める」と考えると分かりやすいでしょう。





どんな改善を目指す?清掃から暮らしの支援まで

Councilが挙げている改善例には、集中的な清掃、雑草や落書きの除去、道路の改善、不法投棄への対応などがあります。英語のfly-tippingは、ごみを決められた場所以外に不法投棄することです。


注目したいのは、清掃だけで終わらない点です。地域での血圧チェックや健康相談など、住民が支援につながるための活動も例として示されています。


ただし、これらは実施が考えられる内容の例です。すべての地区で同じ活動が行われると決まっているわけではありません。


たとえば、ある地域では繰り返されるごみの放置が気になり、別の地域では公共スペースの使いにくさが課題かもしれません。「街を良くする」といっても、そこで暮らす人によって優先したいことは異なります。その違いを、計画に反映させることが大切なのでしょう。


歩行者が過ごしやすい街という視点では、Leeds中心部の自転車・e-bikeに関する取り組みも関連する話題です。こちらはLove Leedsとは別の施策として紹介しています。



Victoria Leedsの内観



誰が参加できる?地域団体のメンバーでなくても大丈夫?

公式案内では、地域団体や関係者だけでなく、地域で暮らす住民にも参加を呼びかけています。すでにボランティア団体に所属している人だけを対象とした取り組みではありません。


また、Councilは、地域住民が主体となって活動するグループや、これまで声が届きにくかったコミュニティの意見を特に聞きたいとしています。たとえば、公園を手入れするグループや、近所の清掃に取り組むグループなどです。


参加の形も、清掃活動などの作業に限りません。意見交換、地域を歩いて確認する活動、アンケートなどが予定されています。地域について気づいたことを伝えることも、参加の一つです。


「英語が得意ではないし、長く住んでいるわけでもない」と遠慮してしまう人もいるかもしれません。しかし、引っ越してきたばかりだからこそ気づく不便さや、子育て・通勤・買い物の中で見つける課題もあるはずです。


なお、確認した公式ページでは、国籍などに関する詳しい参加条件や、日本語対応の有無までは示されていません。個別の会合については、予約の要否や必要な配慮も含めて、最新案内を確認してください。





いつ・どこで始まる?最初の4地区と参加日程

開始時の発表では、まずChapel Allertonで10月初旬から取り組みを始め、その後、Headingley and Hyde Park、Little London and Woodhouse、Moortownへ11〜12月にかけて展開する予定です。残る地区は2027年に続き、その後も繰り返し取り組む方針が示されています。


最初の地区は、活動中の地域団体やボランティア組織との関係、既存の地域ネットワークなどを踏まえて選ばれています。「問題が最も多い4地区」という意味ではありません。


一方、住民の声を聞く会合は、4地区とも10月に案内されています。地域の強みや改善したい点を話し合う、community asset-mapping sessionsです。実際の改善活動の展開時期と、意見交換会の日程は分けて見る必要があります。


対象地区

開催日

時間

会場

Chapel Allerton

2026年10月12日(月)

18:00〜20:00

Caribbean Centre

Headingley and Hyde Park

2026年10月13日(火)

16:30〜18:30 ※時間は未確定

All Hallows Church

Little London and Woodhouse

2026年10月14日(水)

16:30〜18:30

Woodhouse Community Centre

Moortown

2026年10月15日(木)

18:30〜20:30

Moortown Baptist Church


※英国現地時間。2026年10月5日に確認した公式掲載情報です。Headingley and Hyde Parkの時間には「to be confirmed」と記載されています。参加前に変更の有無を確認してください。


今後の案内は、Love Leeds公式ページと、各地域のCommunity CommitteeのFacebookページで更新される予定です。





なぜ今、Love Leedsが始まったのか

開始前の9月9日の公式説明では、既存の地域との関係を土台に、Councilの各部署や関係機関が、より一体的に動く仕組みをつくることが示されていました。目に見える環境改善に加え、健康上の課題や格差への対応も目的に含まれています。


住民の暮らしから考えると、ごみ、道路、公園、住宅、健康といった問題は、必ずしも別々ではありません。同じ場所について複数の課題を感じることもあるでしょう。


行政の部署ごとではなく、「その地域で何が必要か」を出発点に協力する。Love Leedsの新しさは、こうした進め方を市内全体で繰り返す仕組みにしようとしている点にあると考えられます。


また、Councilの別の政策文書「Stronger Leeds Strategy 2026–2030」では、生活費の上昇や言葉の壁が、人々の交流・参加を妨げる要因として挙げられています。街のつながりは、何もしなくても自然に続くものではないという課題意識もうかがえます。


単発の大掃除で終わらせず、改善後の状況も見直し、長期的な協力関係を残す。それが、今回の取り組みを読むうえで重要なポイントです。





Leedsに根づく「自分たちの街に関わる」文化

Love Leedsは新しいプログラムですが、住民が身近な場所を支える活動は、以前からLeedsで行われています。


▶︎公園を支える「Friends of」グループ

Leedsには、公園や緑地の保全・改善に取り組む「Friends of …」という名前のグループがあります。Councilの案内には、球根の植え付け、歩道の手入れ、ベンチ設置のための資金集め、地域イベントなどが活動例として紹介されています。


ここでのFriendsは、単に仲の良い友人同士というより、その場所を大切に思い、支える人たちというイメージです。


公園を「利用する場所」としてだけでなく、「少し関われる場所」として見る。そんな視点が感じられます。


LeedsのRoundhay Parkの紅葉。地域の公園を紹介するイメージ写真



▶︎修理カフェは、物を直すだけの場所ではない

Councilによると、Leedsでは2013年から、地域の強みや人々の得意なことを生かすABCD(Asset-Based Community Development)という考え方に基づく活動が進められてきました。


その事例がHorsforth Repair Cafeです。地域の人が物を修理してもらうだけでなく、お茶を飲み、人と話し、新しいつながりをつくる場として紹介されています。


「この地域には何が足りないか」だけでなく、「すでにどんな人、知識、場所、つながりがあるか」から考える。Love Leedsの会合で使われるasset-mappingという言葉も、こうした地域の強みを見つける視点で読むと理解しやすくなります。


清掃活動にも、その土台があります。地域団体Litter Free Leedsによると、2026年3月の「Leeds Goes Purple」では29回のグループ清掃が行われました。


これらはLove Leedsの実績ではなく、以前からある別の活動です。ただ、新しいプログラムが動き出す前から、街に関わろうとする人たちがいることを伝えてくれます。





Leedsに住む日本人にどんな影響がある?

Love Leedsを暮らしの側から見ると、注目したいのは、生活環境の改善だけでなく、自分の声を届ける接点が増えることです。住民と地域のサービスとのつながりを強めることも、公式に掲げられた目的です。


ただし、要望を伝えれば必ず実現する、すぐに自宅周辺が変わる、とまでは言えません。地区ごとの計画や、実際に何が改善されたのかを見ていく必要があります。


関心がある人は、まず「変わってほしいことを一つ」と「残したい地域の良さを一つ」考えてみてはいかがでしょうか。困りごとだけでなく、好きな場所や大切にしたい活動も、街づくりを考える材料になります。


会合などで声をかけるときには、こんな英語も使えます。


“I live locally and would like to share an idea for the area.”


「近所に住んでいて、この地域についてアイデアをお伝えしたいです。」


一方、参加しやすさを住民の努力だけに任せないことも大切でしょう。仕事や育児の時間、言葉の不安などによって、会合に出にくい人もいます。Councilの地域戦略でも参加を妨げる要因が指摘されており、さまざまな立場の声をどう拾うかは、今後注目したい点です。



住まいそのものを支える制度については、別の記事でCouncil Housingの仕組みも紹介しています。





まとめ|街づくりは、近所の小さな気づきから

Love Leedsは、住民が行政の代わりになる取り組みというより、行政や地域団体と一緒に、自分たちの暮らす場所を考える取り組みです。


街づくりと聞くと、大きな再開発や新しい建物を思い浮かべるかもしれません。でも、毎日通る道が気持ちよく歩けること、近所に話せる人がいること、困ったときの相談先が分かることも、暮らしやすさをつくる大切な要素です。


「ここが少し変わったら、もっと好きな街になるのに」


そんな気づきを、自分の中だけにとどめず、誰かと共有してみる。Love Leedsは、そのきっかけになるかもしれません。


コメント


bottom of page