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イングランドで「大家・賃貸物件の登録制度」が始まる?日本人の借主が知っておきたい新制度

9月15日
読了時間: 13分

更新日:3 日前

「イギリスで、大家さんの登録制度が始まるらしい」

そんなニュースを見て、「今借りている家にも関係するの?」「借主も何か登録しないといけない?」「これからイギリスで家を探すときは何が変わる?」と気になった方もいるのではないでしょうか。


2026年、イングランドでは賃貸住宅に関するルールが大きく変わっています。


その一つとして、イギリス政府は大家と賃貸物件を登録する新しい全国的な仕組みの導入を進めています。政府は2026年9月、新しい登録サービス「Register your rental property」を、2026年12月からイングランドで地域ごとに段階的に展開すると発表しました。


これは、Renters’ Rights Act 2025によって導入されるPrivate Rented Sector Database(PRS Database)に関係する仕組みです。


ただし、2026年9月現在、制度の細かな運用については今後正式に決まっていく部分もあります。

そこでこの記事では、細かなルールではなく、「そもそもどんな制度なのか」「なぜ導入されるのか」「私たち借主に何が変わるのか」という点を中心に、日本人向けに分かりやすく整理します。


なお、今回紹介する制度はEngland(イングランド)の制度です。Scotland、Wales、Northern Irelandでは賃貸住宅に関する制度が異なるため注意してください。




イングランドで始まる「大家・賃貸物件の登録制度」とは?

イングランドでは今後、民間の賃貸住宅について、大家と物件の情報を全国的なデータベースへ登録する仕組みが導入されます。

法律上は、Renters’ Rights Act 2025に基づくPrivate Rented Sector Databaseとして整備が進められています。

そして、政府が大家向けに提供する登録サービスとして使われている名称が「Register your rental property」です。

少し名前が分かりにくいですが、「イングランドの民間賃貸住宅について、大家と物件を登録し、情報を整理する新しい仕組み」と考えると分かりやすいでしょう。


登録を行うのは基本的に大家側です。そのため、賃貸住宅に住んでいる私たち借主が、新しいデータベースへ自分で登録する制度ではありません。

政府は、2026年12月15日からWest Midlandsを皮切りに地域ごとに制度を展開し、その後イングランド各地へ広げていく方針を発表しています。



イギリスの賃貸契約をイメージした鍵と契約書類
イギリスの賃貸では、契約内容や安全書類を自分でも確認することが大切です。



なぜ大家や物件を登録するの?

では、なぜ新しい登録制度が必要なのでしょうか。

政府が掲げている大きな目的の一つが、民間賃貸住宅をより透明で分かりやすいものにすることです。


現在のイギリスで家を探していると、「この物件の大家は誰なのか」「きちんとルールを守っている大家なのか」「住宅の安全に関する必要な手続きは行われているのか」といった情報を、借りる前に十分確認するのが難しい場合もあります。


特に日本から移住・留学・駐在などで来たばかりの場合、イギリスの賃貸制度そのものに慣れていないため、何を確認すればいいのか分からないこともあるでしょう。


新しいデータベースには、こうした状況を改善する狙いがあります。

  • 借主が物件を選ぶための情報を得やすくする

  • 大家が自分の義務を確認しやすくする

  • Councilが問題のある大家や物件を把握しやすくする


単に「大家を登録する制度」というより、イングランドの賃貸市場全体を分かりやすくするための仕組みと考えるとよさそうです。




借主にとって何が変わる?

日本人の借主にとって重要なのは、制度そのものより「家を借りるときに何が変わるのか」ではないでしょうか。

新しいデータベースでは、将来的に借主も大家や物件に関する情報を確認できるようになる予定です。


政府は、データベースに集められた情報が、借主が新しい賃貸契約を結ぶ際の判断材料になると説明しています。

つまり、これからは物件を見るときに、家賃や立地、間取り、内装だけでなく、「この大家・物件はきちんと登録されているか」という確認もできるようになる可能性があります。


これは、特にイギリスの住宅事情に詳しくない人にとっては安心材料になりそうです。

一方で、大家側の登録サービスが始まったからといって、すぐに一般の借主がすべての情報を検索できるようになるわけではありません。

政府の計画では、まず大家とCouncil向けの登録を進め、その後にpublic access(一般向けの利用)を広げる予定です。そのため、借主向けの具体的な使い方については、今後の政府発表を待つ必要があります。





大家・貸主側ではどう変わる?|負担増だけではない

大家・賃貸人側から見ると、新しい制度は登録や情報更新などの事務が増えるため、これまでよりも賃貸運営をきちんと管理する必要が出てきます。Renters’ Rights Actによるtenancyや退去ルールの変更も含め、個人が空いている家を気軽に貸すというより、ルールを理解して継続的に管理することがより重要になってきました。


一方で、必ずしも悪い面だけではありません。政府はPrivate Rented Sector Databaseを、大家が自分の義務を確認し、必要な情報へアクセスし、法令を守っていることを示しやすくするための「one stop shop」と位置付けています。複数のルールや安全書類を別々に調べるより、情報が一か所に整理されることで、きちんと運営したい大家にとっては管理しやすくなる可能性があります。


さらに、将来的に借主が大家や物件について確認できる情報が増えれば、適切に修理を行い、安全書類を整え、ルールを守っている大家は、その透明性自体が一つの信頼材料になるかもしれません。これは政府が収益増加を保証しているという意味ではありませんが、問題のある大家と、きちんと運営している大家の違いが以前より見えやすくなることは、後者にとってプラスに働く可能性があります。


逆に、書類管理や修理対応を後回しにしてきた場合は、新制度への対応が負担になりやすいでしょう。今後のイングランドの賃貸経営では、物件を持っていることそのものよりも、適切に運営できることの重要性が高まっていくと考えられます。





賃貸用物件を買う人にはチャンス?|メリットと注意点

では、これからイングランドで物件を購入しようとしている人にとって、この変化はメリットなのでしょうか、それともデメリットなのでしょうか。

まず、自分で住むための家を購入し、その物件を貸す予定がない場合は、今回の大家登録制度による直接的な影響は限定的です。


一方、Buy-to-Letなど賃貸目的で購入する場合や、将来的に人に貸す可能性がある場合は、投資判断の見方が少し変わってきます。

これまでも賃貸用物件では価格、エリア、想定家賃、利回りが重要でした。しかし今後は、それに加えて「この物件を無理なくルールに沿って運営できるか」という視点がさらに重要になります。Gas Safety、Electrical Safety、EPC、修理の必要性、既存のtenancyの状況などを購入前に確認し、購入後にどれだけ追加費用や管理負担が発生するかまで考える必要があります。


ここにはチャンスもあります。例えば、安全面や住宅の状態が良く、必要な書類が整理されている物件であれば、購入後に大きな修正を行う必要が少なく、賃貸運営へ移りやすい可能性があります。また、透明性が高まる市場では、きちんと管理された物件と大家が借主から選ばれやすくなる可能性もあります。つまり、安い物件を買って貸すだけではなく、「安心して長く貸せる物件を選び、きちんと管理する」こと自体が競争力になるかもしれません。


一方で、購入価格が安いからという理由だけで、修理や法令対応が多く必要な物件を選ぶと、購入後のコストが想定以上になることも考えられます。また、Section 21(no-fault eviction)は2026年5月1日から廃止されているため、賃貸中の物件を購入して将来すぐに自分で住む、改装する、売却する、といった計画がある場合は、tenancyの状況や、法的な明け渡し手続きも含めて確認しておく必要があります。

その意味では、新制度は不動産投資の魅力を単純に下げるものというより、「物件選びと運営の質がこれまで以上に重要になる変化」と見る方が近いと思います。ルールを負担と感じる人には参入しにくくなる一方、長期的にきちんと賃貸経営をしたい人にとっては、競争環境が整理されるチャンスになる可能性もあります。





いつから始まる?

政府は2026年9月9日、新しい「Register your rental property」サービスを2026年12月15日から段階的に開始すると発表しました。

最初はWest Midlandsから始まり、その後、イングランド各地域へ広げていく予定です。

つまり、イングランド全域で2026年12月15日に一斉に始まるわけではありません。自分の住んでいる地域によって、登録制度が本格的に始まる時期は異なります。


また、制度の詳しい運用については、今後の規則や政府ガイダンスで明確になっていく部分があります。そのため現時点では、「2026年末から地域ごとに段階的に始まる」くらいに理解しておけば十分だと思います。





Leedsに住んでいる場合は?

Nazufi Blogの読者の中には、LeedsやYorkshire周辺に住んでいる方もいると思います。

もちろん、LeedsもEnglandなので今回の制度の対象地域です。

ただし、制度は地域ごとに段階的に展開されます。2026年9月時点では、今後の細かな運用について正式な手続きが続いている部分もあるため、Nazufi Blogでは現段階で詳しい日程を断定せず、制度が近づいた段階で改めて最新情報を確認したいと思います。


現在Leedsで家を借りているからといって、借主側がすぐに何か登録する必要はありません。政府やLeeds City Councilから今後発表される情報を確認していけば大丈夫です。





Renters’ Rights Actとは?

今回の登録制度だけを見ると、新しく突然始まった制度のように見えるかもしれません。

実際には、これはRenters’ Rights Act 2025という大きな賃貸制度改革の一部です。

Renters’ Rights Actは、イングランドの民間賃貸住宅について、借主がより安心して長く暮らせる環境を作ることを目的とした改革です。


政府はこの改革を段階的に進めています。まず2026年5月から、賃貸契約や退去に関する大きな変更が始まりました。そして次の段階として、2026年後半からPrivate Rented Sector Databaseなどを導入していく計画です。


その後も、住宅の安全や質を高めるための改革が続いていく予定です。

つまり今回の登録制度は、「イギリスの大家を登録するためだけの制度」ではなく、イングランドの賃貸住宅制度全体を見直す流れの一つなのです。





Section 21廃止との関係

Renters’ Rights Actの中でも、特に大きな変更として話題になったのがSection 21の廃止です。

Section 21は、いわゆる「no-fault eviction」と呼ばれる仕組みでした。


以前は一定の条件を満たせば、大家が借主の契約違反などを理由として示さなくても、Section 21を使って退去を求めることができました。

しかし、2026年5月1日からこの仕組みは廃止されています。現在は、大家が借主へ退去を求める場合、法律で定められた理由に基づいて手続きを行う必要があります。


一般的な民間賃貸のtenancyについても、2026年5月から新しい仕組みに移行しています。

今回の大家・物件登録制度も、このSection 21廃止と同じRenters’ Rights Act改革の一部です。そのため2026年は、イングランドで家を借りる人にとって、賃貸住宅のルールが大きく変わった年といえそうです。





今イングランドで家を借りている人は何をすればいい?

ここまで読むと、「では、今住んでいる私たちは何か手続きをしなければいけないの?」と思うかもしれません。

2026年9月現在、今回の登録制度について借主が新しく申請する必要はありません。登録するのは大家側です。


そのため、今すぐ特別な対応をする必要はありません。

ただ、これを機に次のような基本情報を確認しておくのはよい機会だと思います。

  • Tenancy Agreementを保管しているか

  • 大家やletting agentの連絡先が分かっているか

  • Gas Safetyなど必要な住宅関連書類を受け取っているか

  • EPCを確認したことがあるか


今後、一般の借主もデータベースを利用できるようになれば、自分の住んでいる物件について確認してみるとよいでしょう。





これからイングランドで家を探す人が意識したいこと

これから留学や駐在、移住などでイングランドへ来る人にとって、新しいデータベースは今後の部屋探しで役立つ可能性があります。

とはいえ、「登録されている=必ず良い物件」ではありません。


これからも家を探す際には、次のような点を自分でも確認することが大切です。

  • 家賃

  • 契約内容

  • 大家またはletting agent

  • GasやElectrical Safety

  • EPC

  • 湿気やカビ

  • 暖房

  • 水回り

  • 周辺環境

  • 修理が必要になった際の対応


そこに今後、「大家・物件が登録されているか確認する」という項目が加わっていく、と考えると分かりやすいと思います。


新制度によって、私たち借主が家を選ぶための情報が一つ増える。現時点では、それが一番大きな変化ではないでしょうか。


関連記事:イギリスでの物件探しから契約までの流れは、【イギリス賃貸】フラット契約の流れを解説!2026年最新ルールと物件探しの注意点も参考にしてください。


イングランドの賃貸物件を内覧する入居希望者と担当者
新しい登録制度は、これから物件を探す人にとって確認材料の一つになっていく予定です。



England以外に住む人は注意

今回紹介した制度について、「イギリス全土で始まる制度」と思わないよう注意が必要です。

GOV.UKのRenters’ Rights Act関連ガイダンスにも、対象はEnglandと明記されています。

Scotland、Wales、Northern Irelandでは、それぞれ住宅や賃貸に関する制度が異なります。


例えばLeeds、Manchester、London、Birmingham、LiverpoolなどはEnglandなので今回の制度の対象ですが、EdinburghやGlasgowはScotlandです。

日本語ではまとめて「イギリスの賃貸」と検索することが多いですが、実際に家を探す際には、「どの地域の住宅制度なのか」を確認することが大切です。




まとめ|借主・大家・物件購入者が知っておきたいこと

イングランドではRenters’ Rights Act 2025の一環として、大家と賃貸物件を登録する新しいデータベースの導入が進められています。

政府は「Register your rental property」というサービスを、2026年12月から地域ごとに段階的に展開する予定です。


今回のポイントを簡単にまとめると、次の通りです。

  • 新しい制度はEnglandが対象

  • 大家と賃貸物件を登録する仕組み

  • 登録するのは基本的に大家側

  • 借主自身が今すぐ登録する必要はない

  • 将来的には借主も物件選びのために情報を確認しやすくなる予定

  • 2026年12月から地域ごとに段階的に展開

  • 詳しい運用については今後明確になる部分もある

  • Section 21廃止などと同じRenters’ Rights Act改革の一部


今の段階では、私たち借主が何か新しい手続きをするというより、「これからイングランドで家を借りる際に、確認できる情報が増えていく」という制度として知っておけばよいでしょう。

イギリスの賃貸制度は日本とはかなり異なります。


特に2026年はルールが大きく変わっているため、数年前のブログやSNSの情報だけを参考にするのではなく、GOV.UKなどで最新情報を確認することも大切です。

今回の登録制度についても、借主向けの具体的な利用方法などが明らかになれば、Nazufi Blogで改めて最新情報を更新していきたいと思います。


 
 
 

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